ひらののアメリカノートVol.3

テキサスのミステリー

わたくしは、昨年(2003年)の12月にアメリカ合衆国の移民となった。

そして、その年末にはすかさずカリフォルニア〜アリゾナ〜ニューメキシコ〜テキサス〜オクラホマという、州境を四つも越える苛酷な旅をしたのだ。
ちなみにカリフォルニアとオクラホマの時差は2時間、もちろん車の運転はぼぶっち、わたくしはその横でウタタネもできたのである。

さて・・・我ながらなめらかな導入に成功したところで、テキサスでの思い出をここに記しておこう。

テキサス。
それは巨大な水飲み鳥のような石油ポンプと風車と牛の群れがくりかえしくりかえしくりかえしくりかえしくりかえしくりかえしくりかえしくりかえしくりかえしくりかえしくりかえしくりかえしくりかえしくりかえし
現われる、まずい水と荒野の広大な土地である。

我々はそこで、のどの渇きを潤すために、とあるファースト・フード店に立ち寄った。
わたくしの注文の番が来る。
店員の若い女性が問うてくる。
「ハイ、何にします?」
わたくしは、自信を持って答える。
「かふぃー」

「・・・・は?」
テキサス娘がきょとんとする。
「かふぃー! ください(汗)」
「・・・・・?」
テキサス娘は、ぼぶっちに目線で助けを求める。
「コーヒー、と言ってます」
ぼぶっちが正統派アメリカ英語で説明する。
「あ、、、コーヒーね。レギュラー? それともフレンチ・ビネガー?」
「・・・・レギュラーください」
わたくしは少しオロオロと返答した。

この数瞬間にわたくしが思ったことは だ。
えー?間違った発音したのかなー?かふぃー?って正しい発音じゃないのー?ぼぶにはこれで通じるのにい?しかしアメリカっていつでも何かしら選択をせまるのよねー・コーヒーつったら普通のコーヒー出しゃいいのよー・そんでもってアメリカ人ってコーヒーにビネガー(酢)入れて飲むわけー?信じられん!でもアメリカ人ってフレーバー狂の味音痴だからそれも「可」かもー?

と、終盤にいたっては偏見に満ち満ちてしまいさえしたのである。

さて、なんとか注文と支払いを済ませ、我々は窓際の席についた。
「かふぃー って、間違った発音なのか?」
わたくしはぼぶっちに問う。
「いや、そんなに悪くないよ。このへんじゃアイスティーかコーラがおもで、コーヒー注文する人はいないんだよきっと・・」
でも・だからってあんなにきょとんとしなくったって・壁のメニューにちゃんとあーして載せてるぢゃないか!!

「・・ところでアメリカ人は、コーヒーに酢を入れて飲むのか?」
「、、、、、、いへ、、、あれは、フレンチ・バニラと言ったんだよ。テキサスなまりでね」
て、てきさすまなり・・・・・汗・・・・ と 脳が少々撹拌されるわたくしの前に、やがてコーヒーが運ばれてきた。
あー、これよー・これこれー、コーヒーの良いにおひ・・ん? 

「これ、レギュラーじゃありません、フレンチ・バニラですー(汗)」

だが、この時点では、わたくしの怒りなぞまだまだ取るに足りないほど小さかったのだ。

翌日ー
またもやファースト・フード系のレストランでテーブルについている我々。
(ちなみにこの どこに行ってもファースト・フード・あなたもわたしもファーストフード・さあさみんなでファースト・フード♪ のアメリカ文化に、ひらのの怒りは別コーナーにて怒りを積み上げつつあった。日本ではMドナルドとKタッキーフライドチキンご利用各一回かぎり・Mバーガーは未利用というひらのなのである)

今日のわたくしは、「フレンチ・バニラあるいはイングリッシュ・タフィー」という困難な選択肢の中から、いみじくも自信と確信を持ってフレンチ・バニラを選んだのだ。
本日の選択と注文に、わたくしは成功した・・・ウふ・ウふふふふ・・。

「お待たせしましたー。エンジョイ♪」
やってきました、わたくしのフレンチ・バニラ・コーヒー。
これこれ、これよー、バニラのにほひ・・・ん?

「・・・・・これ、イングリッシュ・タフィーですー!!」

わたくしは暴れ、何の罪も無いぼぶっちにやり場の無い怒りをぶつけた。
いつも注文とちがうものを持ってくるんなら、何にするか聞かなきゃいーんだ
彼らは質問しなくていいし、こっちも考えなくてすむし!!
無益な会話はしなくていいし、彼らは彼らの好きなものを運んでくりゃいーじゃないか!!!

てきさすなんて

きらいだー !!!


テキサス・・・・・
そのミステリーは根が深い・・・・

(2004.4.9)(アメリカ時間)

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チャイナ・タウンのミステリー

先日、サンフランシスコへ行った。
そこでブランチ(朝食兼昼食)に飲茶しませう。ということになり、中国人街へくり出した。

チャイナ・タウンといえば、横浜にも中華街がある。サンフランシスコの中華街は、横浜のそれよりも無計画に積み重なったと思える街並みで、アジア的混沌を強く感じる。

さて、飲茶レストランへの道すがら、わたくしはとある駄菓子屋の前で足を止めた・・・・・
ビニールの四角い袋に、カラフルな細長い飴のようなものが、たくさん入っている。
何か、日本語が書いてあった。
 
 懐かしい日本の風情

ここで特筆すべきは、「風情」の「風」が、かぜかんむりの中が「〆」の「風」であったことである。

かぜかんむりの中が〆の風・・・・・・・

「懐かしい日本」という言葉と、そのどうしても懐かしくないかぜかんむりの中が〆の文字との連鎖に、わたくしの脳はいっとき、ある種の心地よい振動と期待に見舞われた・・・・・
・・・・これは、ぜひとも続きを読まなくてはならない物件・・・・・わたくしは高ぶる気持ちを抑えつつ、ビニール袋をひっくり返して裏を見た。

 貴女のお肌に良いたつちやぶ!



話題がとつぜん変わるようだが、わたくしには、もう10年来にわたり着古しているトレーナー(スエット・シャツ)がある。
新年の休暇にオクラホマへ行った際、ぼぶっちの旧友宅に泊めてもらったのだが、そのトレーナーを着たわたくしに、旧友は笑いをかみ殺すため少し震えながら
「・・・・・・それは、どういう意味なの?」
と問うてきた。

 I'm going to leave to look for my treasure.

あー、わたくしはこれから宝物を探しに出かけるところです
という意味なのではないか?
それで何か、不審な点でも?
と思ったが、わたくしたちの会話は何かの拍子に途中でこと切れてしまった。

それで今回、わたくしは真実を究明するため、ぼぶっちの目の前にトレーナーを突きつけた。
これは、おかしな英語なのか?
「いや、文法的にはおかしくないよ。でもヘン」
どこがどー、ヘンなのか?

ぼぶっちの説明によれば、それはどうやら
 わたくしはこれから宝物を探しに出かけに出かけるところです
くらいの感触になるらしいのである。
日本で作られたTシャツやトレーナーには、こうしたどーしてもヘンな英語がたくさんあるというのである。
例えば先日ぼぶっちの誕生プレゼントに日本から送られて来た高価そうなトレーナーも、家の中でしか着れない物件なのである。



でも、いーのだ。
貴女のお肌に良いたつちやぶ! も、探しに出かけに出かけるところです  も、なにやらみなぎるパワーを感じるではないか。
とにかくすごくお肌に良いの! ほんとに出かける・もう出かかってます!!という強烈な確信と臨場感に満ちているではないか。

欧米人だって、かっこいいつもりで無邪気に淫猥な漢字を飾って喜んでいるではないか。
映画『マトリックス』だって日本のカタカナを裏がえしてごくふつーの縦書きにしただけで、謎に満ちたコンピュータシステム世界を現し得たつもりになっているではないか。

それで、いいのだ。
けっきょくミステリーというものは、あまねく世界をめぐっているのだ・・・・・・

(2004.4.19)(アメリカ時間)

へロンド・ストリートのミステリー

わたくしが住んでいるアパートメントは、へロンド・ストリートという場所にある。
へ・へろんどすとりいと・・・・・
へロンドとはまた、けったいな地名ではないか。いったいへロンドとは、何を意味するのか? はたまたそもそも、意味などあるのか?

・・といぶかっていたら、先日、夫の友人との会話から、ひょんな具合にその由来が知れた。
わたくしたちが住んでいるのは、Hermosa Beachという市である。その南に、Redondo Beach市がある。へロンド・ストリート(Herondo St.)は、ちょうどその境界線にあたる。
賢明なる読者の皆さんは、もうおわかりであろう。そして、今日はたまたま調子が出なくてー・ごめぇん、という、今日はたまたま賢明ではないアナタのためにあえて説明すると、
HERmosa と redONDO の「つなぎ」な場所だからHERONDO。
というわけなのである。

じつに・・・・・、じつに理屈に合っているようなあまりにイージーなような、思わずウナズキたいような拍子抜けするような、まさしくアメリカちっくな命名のしかたではないか!
これをたとえば日本に当てはめると、島根県と広島県の県境を走る道路を「島島ライン」と命名するようなものである。
海も見えない山ん中に、島島ラインですかあ?・・・おまけに・ぷっ・・・・シマシマライン・・・・・道路全面、シマシマの横断歩道ですかー? そんでもって、そこをシマウマさんたちが恒例の大移動でもするんですかあー?

とゆーよーな、やや自虐的な思いをもてあそんでいるうちに、わたくしはフト思い出した。
関門海峡。
これは、山口県の下関市と北九州の門司のあいだに横たわる海峡の名前である。下「関」と「門」司・・・文字の順番はひっくり返っているものの、これは立派なへロンド式命名法ではないか。
あっ。
青函トンネル。
あっ。
東名高速。
あっ。
レインボーブリッジ。
(ちがうだろー)

ちなみに、アメリカでは住所を現すのにも使われる「通り」(ストリート、アベニューなど)の名づけ方には、いっぷう変わったものがある。
たとえば、さきほど挙げたRedondo Beach市を南から北へドライブしていると、Topaz St.(トパーズ通り)、Sapphire St.(サファイア通り)、Ruby St.(ルビー通り)・・という通りの名前が目に入る。そう、北からアルファベット順に、宝石の名前で通りを命名しているのだ。だから、めのうもベリルもシトリンもダイアモンドもエメラルド通りもある。
これが、同じカリフォルニアでも砂漠地方に行くと、さしたる目印も特徴も無いだだっぴろい荒野の中で、名前を考えるなんてもう面倒だったのだろう、アベニューA・アベニューB・アベニューC・アベニューD・・・・P・Q・R・以下同文・・・悲しくなるだろ・・・などという、「便宜上つけたぞ・なんか文句あっか!」な地名が続いたりする。

うふ。やっぱりRedondo Beachって、さすがビーチ・シティだけあってオシャレだわー。

・・・と思っていたら、最近、そのオシャレなレドンドのリッチな海辺を散歩してわかったことに、アベニューA・アベニューB・アベニューC・アベニューD・・・以下同文・・・・

砂漠の田舎と同じぢゃん!!

汗・・・・・・・。


(2004.5.18)(アメリカ時間)
 

レドンド・ビーチの一角。この向こうにはヨットハーバー、手前にはビーチが続きます。

とつぜんですがサンフランシスコでの世話人ハワードさんからの
投稿写真をご紹介。「たつちやぶ!」Tシャツが決まってますー

このレストランで飲茶しました。