エジプトではもっと・ずっと・うおおぉーんと遠い:その1 エジタク


はーいみなさんこんにちはー・お元気ですか?
12月のなかば、私とぼぶっちはエジプト旅行をしたんですよーニコニコニコ

でね、エジプト到着早々にカイロで乗ったタクシーは、初め

「ひいいいー・ひんひんひんひん!・ひいいいいー・ひひいーーーー!!」

と、ナニやら動物めいた悲鳴をあげていましたが、運転手さんがかまわず道路をぶっとばすうちにあきらめたようで、本来の車らしい音に変わっていったんですよねウフフフフ

エジプトのタクシーというのは、白と黒のツートンカラーで、色の配置がアメリカのパトカーを思い出させるので第一印象としてはなんだか心強いんですね。でもいったん車内に乗り込むと、アメリカのパトカーとはいろいろと違う、てゆーかぜんぜん違う・・・ということに気づかされます・・もっとも私はアメリカのパトカーの車内について、決して詳しいわけじゃないんですけど・エヘ

まず、エジタク(「エジプトのタクシー」のひらの式略称。「キムタク」ちっくなんですけどキムタクファンの皆さんゴメンネ・・・・となぜか最初に謝っておきますわね・・)は、車体が小さい。外見は普通車のカタチなんですが、実のところ軽自動車サイズなんですね、だからぼぶっちなんか自分なりにできるだけ体を縮小させて座るんですけど頭は天井に、ひざから下は前の座席の背中にぴったりくっついてしまってるんですよこれがウワハハハハ!      ・・・・・しつれい・・・。

それからエジタクは、とってもおしゃべり。なぜならエジプトの道路には、基本的に信号機がないんですね、そしてそこを車や歩行者やバイク「だけ」じゃなくてロバとかウマとかもウマ煮・・・いやごった煮になって、曲がったり横切ったりしていきます。車だってある時は2列走行、もし可能ならば3列とか4列走行だってヤブサカではない・・というわけで、非常に自由な交通社会なので、エジタクも他の車も、しょっちゅうクラクションを鳴らして
「ほらほらそこのアナタ、これからアタクシが通る場所にいらっしゃいますけどお気をつけあそばせ」
とか、
「ご忠告ありがとう・でもワタクシきっぱりと自分の道を進まさせていただきますわ」
とか、だけどもいったい誰がしゃべっているのか四方八方からの声が多すぎてさっぱりわからない・・という賑やかなクラクション会話の花ざかりなのですね・クスクスクス

それからさらにエジタクは、めったにないんだけどもしも車線のある道路では、その車線の上にじょうずにまたがって走ります。これは、
「車線の両側ともボクちゃんのものだもんネ!!誰か入ってきたら許さないんだもんネ!!」
という、潔癖・・ともいえる清冽な青春の主張なのですね。

そうそう、清冽といえば、エジタクはまた、所有欲が無いことをみなさんに知っていただくべきでしょう。エジタクの本体は、我々がふだんダッシュボードの下で目にするCDプレーヤーとかエアコンのつまみとかアレとかコレとかいったものはカケラも持っていず、その場所にはただせいせいとした空白の美というか、黒い空洞が口を開けているだけなんですね。ナビゲーションシステムなんてもってのほか、スピードメーターさえ動いていない潔さには万感を込めた拍手を送りたい・・・そう思いませんか?

ところでエジタクの運転手さんは、とくにカイロではよく道に迷います。それで、何回かぐるぐると街を巡回したあと、たまたま見かけた友だちとか運転手さん仲間とかに
「おーい××! ○○にはど−やっていけばいいのかなー?」
と尋ねたりします。やっぱり・・・やっぱりカイロって、迷宮の大都会なんだわ・・・と、カイロの奥深さを実感させてくれる貴重な瞬間なのです。

エジタクの運転手さんについては、でもわたしたち、ちょっと心配事があるのです・・・
それは、運転手さんはたいてい黒の皮ジャンを着て、車の窓を開けてカイロ市街を風のようにかっこよく走っているのですが、その窓から入ってくる風というのが、まるでダイオキシンの海にもぐったみたいな匂いがするんですね・・もっとも私はダイオキシンの海にもぐった経験が無いので、ほんのたとえで言ってるんですけど・・

これは、エジプトでは排気ガスの規制が無い、ということで車には排気フィルターなんてついていない、みんなも大気汚染なんか気にしない、らしいんですが、ぼぶっちが持っているLonely Planet社のガイドブックによれば、「カイロで1日過ごすと、タバコを1箱あけたのと同じくらい呼吸器が汚れる」ということで、肺がんで死ぬ人々の数、とっても多いそうです。

だから、強烈な排気ガスと砂塵でいつももやもやと黒黄色い街の道路わきで、女性が赤ちゃんを抱いて平然とたたずんでいたり、幼稚園とか小学生くらいの女の子たちが楽しそうに車の海の中を横切って行ったりするのを見ると、なんとなく、胸がしめつけられるんですね・・

とくに、エジタクの運転手さんなんか毎日毎日朝から晩まで、(できることなら)何十年も、濃い排気ガスにまみれるわけで、
「体に気をつけて、長生きしてくださいよ・・・」
と、そのうしろ頭に向かってしみじみと心の中でつぶやいてしまうんですね・・

というわけで、いつの間にかウフフとかワハハなどの笑い声が消えてしまったわたしなんですけど、タイトルの「エジプトではもっと・ずっと・うおおぉーんと遠い」、何がどう遠いのか、「アメリカでは遠い」をお読みになった慧眼の読者のアナタなら、きっとおわかりになるはず・・・・・

さて こちらロサンゼルスではいつにない冬の嵐が続いていましたが、今朝は冷たい風は残っているものの雨はやんで、太陽の光が輝いています。
これからはまた、いつもの明るいロサンゼルスがもどってくるよう、みんな希望しています。

それでは今日は、このへんで筆を置きますね。
また、おたよりします。


(て これ手紙だったのかよー!!)


かしこ


(2005.1.11アメリカ時間)




変 身

ある朝、気がかりな夢から目ざめたわたくしは、自分が青いカビの斑点をつけた生ラーメンのメンになっているのを発見した。

・・と ゆーよーなカフカ的衝撃がこの身をつらぬいたのは、ある晴れた日のお昼時、じっさいにイソイソと冷蔵庫から日本の有名メーカー製造による生ラーメン「みそ味 3食入り」をとり出して鍋のお湯が沸いてきたところでメンの袋をパリッとやぶり、やや固まっているメンを指でちろちろとほぐしていざ 鍋に入れなん・・・としていた瞬間のでき事であった。

てゆーか? エジプトその2 は無いのかよー!!

・・フフ・・
ひらのがこんな笑い方をする時、それは要注意のサインである。そんなひらのの無規律&無計画&出たとこ勝負的な執筆行動にとまどわれ純真なココロをかき乱されている馴染みの読者の皆さま、そーなのエジプトについては他にもいろいろ書こうと思ってたんだけど今ちょっと自分の中でもはやおサシミ的新鮮味に欠けるのね、っていうか正直なコト言っちゃうと細かい記憶なくしちゃったのね、クフ。だからいつかビビッと霊感が走って天国の漱石さんや紫式部さんや聖徳太子さんがわたくしの脳にのり移り「きみこれはこうこう、こういうことだから早く書いてしまいたまえ。いとをかし、いみじうらうたし、登斯賀岐布礼婆」と助けてくれたその時に書いてみよう、なんて思ってるの、フフフフ・・

で、くだんの生ラーメンみそ味のメンなのであるが、まさしくカフカ的衝撃そのまま、堂々青カビの斑点(斑点おのおのの直径は約6ミリメートル)をつけていらっしゃったのである。
で、でもこれ、ほんの4,5日前にスーパー(こちらではグローセリー・ストアという)で買ってちゃんと冷蔵庫に入れておいたモノよおー??
わたくしは動揺のあまりウロウロと目を泳がせながら、パッケージに記された製造年月日または賞味期限を確認しようとした、それが無駄な行為だと知りつつも・・

そーなの。製造年月日も賞味期限も書いてないのよこっちの生ラーメンには。
牛乳や、なぜかコーンフレークには、Best used before XXX(X年X月X日までに使うのがいちばんいいのよ)という表示がある。
それから、肉や魚のパックにはSell by XXX(XXXまでに売ってね)と、お店への指示が書いてある(だけである)。

じゃ? なぜナマラーメンという一刻を争うナマが売りもののナマモノに、ナマがナマであるためにもっとも重要な日付が記入されていないのか?
いや、生ラーメンだけではない。ごくふつうの乾燥ラーメンに向かっても、わたくしはずっと一言言いたい事があるのだ。

同じ日本の有名メーカーが製造し、パッケージだってうれしくなるほど懐かし同じなデザインのラーメンなのに、なぜ、アメリカにいるというだけで日本のものよりあきらかに格段にまずいのか?

この時、わたくしの脳裏に、夕陽に光るナイフのごとくあざやかな光景が浮かび上がった。

紫外線防止ガラスをふんだんに使った大きな窓から見おろす他の高層ビル群・・ここは、なめらかに輝く黒いテーブルが場のおおかたを占める会議室である。
静まりかえったその部屋に、たった二人だけ男が立っている。そのうちの一人、やや太りじしのウエダ部長が、そのぷっくりとしたやけに赤い口びるを開いた。
「ねえ、ヤマダ課長・・今期はもっと売上げを伸ばすように、ウエから言ってきてるんだがね・・コスト削減して値段も一袋50セントアンダーくらいにしてさ、そのへんの努力頼むよ・うん?」
「ぶ、部長。お言葉ですが、そうするには品質を、つまりラーメンスープの味を落とすしかなくなってしまいます!」
「うん? ふかかかか!(注:これはウエダ部長の笑い声である。彼がこんな笑い方をするとき、これも要注意のサインてゆーか、いつものことなんである) ヤマダくうーん(ここでウエダ部長、下からなめるようにヤマダ課長を見上げ、まつげをパチパチさせる)、キミ、ここどこだかわかってるだろ? アメリカだよ、ア・メ・リ・カッ! きゃつらアメリカ人は安くてハラのふくれるもんなら、それでじゅーぶん満足するの。味なんてどっちを向いていよーがかましまへーん、のよ・ふかかかかっ」
「し、しかし部長・・・・それでは日本本社の社訓”味は信頼。裏切りませんあなたの舌を”に反することになってしまいますっ」
「いーの!本社の連中はたまにこっち来たってウチの50セントラーメンなんて食べないんだから!いーのいーの! じゃボク、これからベニハナ(高級日本料理店)でディナーの約束あるからさ。あとはよろしく頼んだよ・ウかかかか!!」(ギイ、とドアを開けて出て行く部長ウエダ)
会議室にひとり残されたヤマダ課長・・・その額に、ひとすじの苦渋の汗が伝うのであった・・・・・・
と トツゼン開くドア。ぎょっとして少し飛び上がるヤマダ部長。そこには再び、ウエダ部長の丸顔が。
「それからさ例の生ラーメンの件ね。賞味期限をつけるかどーかっていう? あれ、必要なしよ。きゃつらそんなもの読まないからね・ふかか!!」

・・・・・・・・とゆーよーな一連の光景が、わたくしの脳裏を走馬灯のように駆けめぐったのである。

そうか・・・そうだったのか○×ラーメンアメリカ支社め!! きさまもここへきてアメリカゴマダラカミキリに変身したかあああー!!

それはさておき

賞味期限といえば、たとえそれが商品に書かれてあったとしてもアメリカの人は(てゆーか例えばぼぶっちは)あんまり日付を気にしない。
日本人(たとえばわたくし)のように「賞味期限を1週間も過ぎている」とわかるとたとえまだだいじょうぶな食品であってもマインドコントロールされちゃってもう精神的に食べられない・・というのもおビョーキだろうが、ぼぶっちてば1年も前のサラダ・ドレッシングを気にせず食べた(「こーいうものは半永久的にもつのよ」とぼぶっちは自信たっぷりに言っていた)その数分後に青い顔をしてトイレのお世話になり、せっかく食べた夕食を一切合財フイにしてしまったことがあるのだ。
わははは・ざまみろ!日本人の勝ちいー!!

てゆーか、この根本的な意識の違いは、出回っている食品そのものに原因があるのではないだろうか、とわたくしは思うのだ。
たとえば、ジャム。日本なら「開封後は冷蔵庫にいれ3週間以内に使いきってください」などとラベルに書いてある。また、たとえそう書かれていなくとも、冷蔵庫に入れている使いかけのジャムにそのうちぽつぽつとカビが生えてきたりして、あ・これはもうだめなんだなと、私たちは品質の変化に気づく。

でも、アメリカのジェリー(ジャムのことをジェリーと称するところにさえ軽軽しさを感じて不快感を示すおビョーキひらの・汗)は、いつまでたってもカビが生えないのだ! カビさえ生きられない! カビさえ手をつけないモノを、我々は食っているのか!!

「き、きさま・・・この中にいったい何を入れた・・・・」
「へへ・・、悪いね旦那さん、一服仕込ませてもらいやしたぜ」

ジャムよ!オマエもアメリカゴマダラカミキリに変身したかああああ!!

と、ゆーわけで、そんなアメリカゴマダラカミキリに幼い頃から囲まれて暮らしているアメリカの人々は、食に対する繊細な感覚というか、異常をかぎ分ける野性の勘というか、そんなものが育まれずあるいは退化していっても不思議はないなあ、と思う、おビョーキ日本人ひらのなのだった、フ・フフフフ・・。


(2005.5.11アメリカ時間)

ひらののアメリカノート Vol.6

ピラミッド団地から見たギザ市街(カイロのおとなり)。
真ん中の丸いうしろ頭はスフィンクスちゃんです。

いぬのこうまちゃんPony the puppy HOME