ピピのこと。

私の犬 ピピは、1993年の秋生まれです。
そして、1995年7月6日の夕方、たった1歳半で死にました。

ひどい痙攣と大量の吐血、からだはガチガチに固まって、とても残酷な死に方でした。

かかりつけの獣医は毒殺を疑い、わたしは警察にも届けましたが、
真相はわからないままに終わりました。

それから、同じ月のうちに、
お向かいの犬も、夜中のうちに胸を切られて死にました。

わたしは、「神様などいない。太陽は毎日、まちがったまま昇り降りしている」
と思いました。

わたしには、ピピが天国に行った、などとは決して思えなかったのです。
死んでも魂が残る、ピピは天国で遊んでいる、
そう考えれば、わたしの気持ちは楽になるのでしょうが、
ピピの死に方は、そんな甘えた考えなど許さない、ひどいものでした。


ピピの死から4年たって、わたしは突然、絵を描きはじめられました。
1999年のことです。
ピピがわたしの家に来て、たった3日目くらいのときの写真を見ながら、
ピンクのカラーボールペンで描きました。
「ピピの物語」の、第1章のイラストです。

ピピを失った時、また、それからずっと、わたしは
ピピと暮らした日々は、なんと甘く濃い、豊かな時代だったのだろう・・・
と思ってきました。

そうした、ピピがくれたものを、少しでも現すことができたら。

そう思って、描いてきました。


HPを訪問してくださるみなさんは、これまで、ピピは生きていると思われていたはずです。
わたしは、もういないものとして「ピピの物語」を読んでいただきたくなかった。
また、ピピがまるで生きているように扱っていただいて、とてもうれしかったのです。

でも、このたびの絵本の出版のことで、
ピピの死をふせておくことは、だんだんと難しくなってきました。

わたし自身も、いずれ時を見て事実をお知らせしなければ・・・
と思っていました。

これまで、なかなかピピの死のことをお話できずにきましたが、
絵本の出版を機会に、この場を借りてお知らせいたします。


残酷な事件があまりに多い、厳しい世界ですが、
みなさんの愛するものたちが、どうか幸せに天寿をまっとうされますように。

 
   2003年7月

     平野明子

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